肝硬変の方の感染予防

 

肝硬変の方の抵抗力

肝硬変の方は抵抗力が一般に低下しており、ちょっとした事で重症の感染症になってしまうことがあります。

感染症の肝硬変への影響

重症感染症(インフルエンザなど)に罹ると一部の肝硬変の方では発熱などのために、黄疸や腹水の原因となることがあります。そこで、転ばぬ先の杖ではありませんが、感染する前のワクチンによる予防が大切になります。

 

肺炎球菌について

1881年パスツールらによって分離培養されました。呼吸器感染症や可能性髄膜炎や敗血症などの原因として重要な菌です。近年ペニシリンなどの抗生剤耐性菌が急激に増加したため ワクチンによる予防も大切であると考えられてきました(もちろん耐性菌の予防もできます)。

 

肺炎球菌ワクチン

現在使用されているワクチンは世界保健機構(WHO)の指導にもとに作成されています。アメリカの Center for Disease ControlCDC 世界でも最も権威ある医療機関です)のこのワクチンに対する適応の一部を次にお示しします。

 

ワクチン接種が勧められるもの

推奨度

再接種について(推奨度は全てC

免疫能に異常のないもの

  65歳以上の高齢者

A

はじめのワクチン接種から5年以上経過し、初回接種時の年齢が65歳未満であったもの

264

 慢性心疾患・慢性呼吸器疾患・糖尿病 

 アルコール中毒・慢性肝疾患

 無脾症・鎌状赤血球症・脾摘後

 特殊な環境下

 

A

B

A

C

 

推奨されない

推奨されない

はじめのワクチン接種から5年以上経過し、現在の年齢が10歳を越える者

推奨されない

免疫能に異常を認める2歳以上のもの

C

 

 推奨度A:根拠に基づき強くワクチン接種を勧める。

 推奨度B:根拠に基づくワクチン接種を勧める。

  •  推奨度C:明らかな根拠はないが、ハイリスク(危険性が高い)であり接種によりその効果が期待される。

    肝疾患の方はほとんどが ABにあたると思われます。

    保険適応など

  • 脾摘されておられる方だけが、保険で接種可能です。使用される場合は、副作用などの点に関して十分説明を受けられた上で接種された方が良いと思います(肝疾患は注意して摂取するむねの注意があります)。