消化管出血(胃・食道静脈瘤)

   門脈圧が上昇すると門脈系と大静脈系のバイパスである胃冠状静脈や短胃静脈が発達します。静脈は抵抗力が弱く、胃・食道静脈瘤が形成されやすくなります。肝硬変では止血異常を示す為静脈瘤の破裂による出血は致命率が高く、肝硬変症の死因の1/3が食道静脈瘤出血です。食道静脈瘤の治療は最近、食道静脈瘤硬化療法という内視鏡から硬化剤を注入する方法が普及し、予後が改善されてきています。また門脈圧の上昇によって、胃や腸にうっ血がおこり腹部膨満感を訴えたり、胃・十二指腸潰瘍ができやすくなります。

 

黄疸(1)

   黄疸とは血液中に胆汁色素(ビリルビン)が増加し、皮膚や粘膜が黄色くなる状態をいいます。古くなった赤血球が破壊された時に生じる老廃へムから、ビリルビン(非抱合型ビリルビン)が生成されます。非抱合型ビリルビンは肝臓に運ばれ、肝細胞内でグルクロン酸抱合されて抱合型ビリルビンとなり、毛細血管に運ばれます。黄疸は一般に代償性肝硬変では軽度ですが、非代償性肝硬変では予後不良の兆候となることが多くあります。

 

              黄疸(2)

 肝硬変では通常、抱合型ビリルビンの毛細血管への排泄障害を起こして血管に逆流し、抱合型ビリルビン優位の高ビリルビン血症を示します。しかし肝細胞内へのビリルビンの取り込み障害、肝細胞内でのビリルビンの抱合障害などによって非抱合型ビリルビン優位を示す」こともあります。また溶血や合併症が高ビリルビン血症の原因になることもあります。

 

肝性脳症とは(1)

    肝性脳症も肝機能不全により発現する症状の一つで、意識障害を主とするさまざまな精神神経症状を示します。肝性脳症の症状は一般に意識障害、個性の変化、知力の低下、運動障害、言語障害や特徴的な神経症状(羽ばたき振戦を示します。症状の程度によって3つの型に分類されます。

 

肝性脳症とは(2)

  1. 急性型 劇症肝炎に代表されるような肝細胞の広範な壊死により、肝機能が 
  2.   低下して発生します。

  3. 慢性型門脈ー大静脈短絡路(PCシャント)が形成されアンモニアなどの腸内有
  4.   毒物質が肝臓で代謝されずに直接脳に達することにより発生します。

  5. 中間型1,2の要素が混在しています。肝硬変による肝性脳症はこの中間型

  が多いと考えられています。