かつては、肝硬変は肝疾患の終末像と言われていましたが、現在は肝硬変で亡くなる患者さんは減少しています。

 肝硬変症の死因は、昭和50年代初期には、肝不全、消化管出血、肝臓癌がそれぞれ1/3でした。

 ところが、特殊アミノ酸製剤(BCAA製剤)の登場や、消化管出血に対する食道静脈硬化療法、門脈圧亢進症に対するβ-ブロッカーの使用の普及などにより、肝不全死や消化管出血による死亡は減少してきています。

 当時、BCAA製剤の点滴静注による脳症の改善は、大変センセーショナルな話題でした。少し遅れて、覚醒後の維持療法について経口BCAA製剤が登場したことが、肝不全患者の外来管理を可能にし、患者さんのQOLの改善に多大な貢献をしました。

 現在経口BCAA製剤を飲んでいる患者さんにとって大事なことは、肝癌の早期発見のための 定期的な超音波検査(エコー)やCT検査やMRI検査などの画像診断と、AFPやPIVKA-Uなどの腫瘍マーカーの検査です。肝臓癌も早期発見、早期治療により、予後は改善されてきています。