Q(41歳男性):B方型肝炎で20年です。最近、血液検査でAFPが高く出ていると先生がいっていました。AFPは肝癌を反映すると聞いていたので心配です。超音波検査も年に何回かやっているのですが、このようなことはあるのですか。

A:AFPの高値は必ずしも肝癌ではありません。慢性肝炎や肝硬変でも高値のことが時にあります。病状によって肝癌の発生する頻度が変わってきますので、肝硬変の方なら3カ月に1回の超音波検査と、1年に1回のCT検査等と、採血によるAFPやPIVKAU等の腫瘍マーカーの検査が必要です。

AFPの高値の場合、必ずしも肝癌ではない可能性もありますが、画像診断でも見つけにくいような(腫瘍が小さかったり、低悪性度のため)肝癌が隠れている場合もあります。また、AFPの高値の方からは発癌しやすいため、いずれにしろ十分な経過観察が必要でしょう。他の画像診断や、腫瘍マーカーを組み合わせて検査することも必要です。

 

Q(60歳女性):現在C型の慢性肝炎です。毎年エコーをしています。先生はガンの発見と言っていますが、どのくらいの確率で、どのくらい成長したガンをみつけることができるのでしょうか。また、その時みつけられたガンは治療で完全になくすことができるのでしょうか。

A:毎年一回程の超音波検査をなさっておられるとしたら、病状はまだ進行しておらず、発癌する確率は低いと思われます。癌の発見のための検査ですが、超音波・CT・MRI・血管造影検査などの画像診断や、採血によるAFPやPIVKAU等の腫瘍マーカーの検査などがあります。なかでも超音波検査は一番患者さんへの侵襲が少ないうえに1cm前後の大きさの肝癌から発見できるため多用されています。発見できる確率は、機械の性能や検査の施行者の技能等にもよります。また、横隔膜直下など超音波では特に見えにくい場所があるため、決して100%ではありませんが、かなりの高確率で発見できます。その他の検査の組み合わせが必要です。肝癌の治療ですが、肝癌のできた場所にもよりますが、1〜2cm前後でしたらほぼ完治可能と思われます。しかし、一度肝癌ができると、他の部分にも肝癌のできる確率が極めて高いため、その後の検査も大切です。

 

Q(35歳女性):C型慢性肝炎です。GOT、GPTが40になったり60になったりと安定しません。先生はこの程度はあまり心配ないとおっしゃっていますが、心配です。値がどの程度になったら心配な範囲なのでしょうか。

A:初期の慢性肝炎の方の場合と肝硬変の方の場合で違うと思います。初期の慢性肝炎でこの値でしたら肝硬変へは普通10年以上進行しません。私個人としては、年齢もお若いので、治療をされて、40以下ぐらいにされた方がよいと思います。

 

Q(42歳男性):γ-GTP値が会社の検診でいつも高く、産業医の先生から酒をひかえるように言われています。γ-GTPの値は80〜100くらいです。他の検査は良いようです。私の肝臓の状態はどのようなものなのでしょうか。

A:γ-GTPがこの値で他の検査が全く正常とは思えません。とりあえず、超音波検査でもほぼ正常とすると、アルコール性肝障害がもっとも考えられます。まず、診断確定のために一時期飲酒を控えられてはいかがでしょうか。それでデータが良くなればアルコール性肝障害と診断して良いと思います。ただ、長期の飲酒を今後も続けられますと肝硬変へ進展する可能性はありますので、少し飲酒量を少なくし、飲酒なの日を週に2日程取られてはいかがでしょうか。

 

Q(55歳男性):肝臓を悪くしてから尿の色が濃く、臭いも強く感じます。検査の結果では黄疸は出ていないとのことです。私は肝臓の機能の低下と尿の色・臭いは関係があると思っています。医学的にどうなのでしょうか。

A:尿の色については、黄疸との相関があります。検査結果に異常無く、尿の色が濃いだけなら心配いりません。尿の臭いの原因はいろいろあると思いますが、医学的にこの臭いとこの異状が関係あると言うことはありません。