ラクチトールQ&A


Q1.ラクチトールが用いられる高アンモニア血症、肝性脳症とは?

A1.高アンモニア血症とは血液中のアンモニア量が多くなることです。どのくらい高くなれば『高アンモニア血症』と呼ぶといった基準はありません。ふつうは、病院で 決められている基準値を超えた場合に高アンモニア血症と呼ぶことが多いようです。通常、アンモニアは小腸や大腸でつくられ吸収されたあと肝臓で尿素になり多くは 尿ととも排泄されますが、肝臓の働きが悪くなるとアンモニアの処理がうまくいかなくなり高アンモニア血症となります。高アンモニア血症は性格の変化や知能の低下等がみられる肝性脳症の原因といわれています。

Q2.ラクチトールとはどんな働きをするお薬ですか?
A2.ラクチトールは血液中のアンモニア濃度を低下させて、高アンモニア血症や肝性脳症を予防、改善するお薬です。ラクチトールを服用すると、ほとんど吸収されることなく大腸まで到達します。大腸には腸内細菌がたくさんいますがラクチトールはこれらの菌により分解されて乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の酸になります。酸性になると 腸管内にあるアンモニアは吸収されにくい形にかわります。また、ラクチトールは 腸管輸送能を亢進させアンモニア源となる腸管内容物の滞留時間を短縮させます (お通じをよくします)。以上のような作用でアンモニアの産生及び吸収を抑制し血液中のアンモニア濃度を低下させます。なお、ラクチトールは善玉菌であるビフィズス菌をふやしアンモニアを産生する悪玉菌をふやさないこともわかっています。

Q3.ラクチトールの味は?
A3.ラクチトールは、ショ糖の4割程度の甘みです。 甘みが従来の合成二糖類より少なくまた、さっぱりした味のため服用しやすいと言われています。

Q4.ラクチトールの服用の方法は?
A4.ラクチトールは粉末製剤であり、水に溶解して服用します。ラクチトールの溶解度 (1. 0g/0.8ml)から計算すると、1回に6g服用する場合、 約5mlの水で溶解可能とということになりますが、実際にはコップ3分の1から半分程度の水で溶解して服用 していただければよろしいと思います。(患者さんによっては水分制限のある方も いらっしゃいますので、医師・薬剤師の先生方の指導にしたがって下さい)

Q5. 排便コントロールについて
A5. ラクチトールの服用によりアンモニア源となる腸内容物(便)の排泄が促進されます。ラクチトールは1日2〜3回程度の軟便が出る量を服用していただきます。下痢になり難く比較的、排便コントロールがしやすい薬剤です。

Q6.下剤として使用できますか?
A6.日本では適応症の設定から保険適応がうけれません。しかし、ラクチトールは 緩下作用をもち、海外では下剤としての適応も認められています。

Q7. 血糖値を上げないですか?
A7.ラクチトールは乳糖を原料に合成されますが、お薬として提供される ラクチトールは、高純度であり乳糖を含みません。したがって、 血糖値に与える影響は少ないと考えられ、実際の臨床試験においても 血糖値への影響はみられていません。したがって、血糖値への配慮が必要な糖尿病をもつ患者さんへも服用していただきやすいお薬です。

Q8.吸収カロリーはどうなっていますか?
A8.ラクチトールは1gあたり約2kcalです(ちなみに、ショ糖は4kcal /g)。しかし、ラクチトールはほとんど吸収されず大腸内の腸内細菌により分解されます。 したがって、糖として吸収されエネルギーになることはありませんが、分解物として は吸収されるため、まったくのノンカロリーというわけではありません。したがって、 最大2kcal /gと考えて下さい。

Q9.ラクチトールという名前をどこかで見た気がするのですが…
A9.ラクチトールは人工甘味料としても知られているものです。 ノンシュガーチョコレート等で砂糖代わりに使用されています。

Q10.腸内細菌に対する作用について
A10. ラクチトールを服用すると善玉菌とよばれるビフィズス菌が増えます。ビフィズス菌はアンモニアを取り込む働きがあり、またビフィズス菌の代謝産物である乳酸や酢酸などは腸の運動を助け、便秘を防ぎます


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