カンテックについて

 

 カンテックは代償性肝硬変における肝蛋白代謝改善剤として昭和601月に承認され、同年7月に発売となりました。

 カンテックはヘパトトロフィック作用により、肝臓の代謝性機能を維持・改善する薬剤です。

カンテックのヘパトトロフィック作用とは、肝蛋白代謝改善作用により「肝予備能」を亢進、肝細胞の機能を高め線維化の進展を抑制し、代謝性機能の維持・改善をすることによって、肝硬変病態の進展を抑え、患者さんの寿命を延長させる総合的な作用を言います。

肝臓はその組織の3/4がガンなどのために働けなくなっても、肝機能検査を行ったとき異常値を示さないことがあります。これは残った1/4の組織だけで、十分に肝臓の機能を果たすことができるためです。つまり、日常生活を営むためには、肝臓はその1/4か1/5が働くだけで間に合ってしまう程、余裕があるのです。この余裕を肝臓の「予備能」といい、カンテックは肝硬変によって低下した予備能を改善する作用をもちます。

よってカンテックの適応は肝の予備能がある「代償性肝硬変」であり、肝予備能の失われた重篤な肝硬変(非代償性肝硬変)は投与対象とはなりません。用量は1回1錠を1日3回経口投与です。

効果として12週投与により血清蛋白、コリンエステラーゼ、コレステロールの増加が見られます。このことはカンテックが硬変肝の蛋白合成能を改善することを支持しています。*(1)

また、HCV抗体陽性例でPVPや7Sコラーゲンなど線維化マーカーは上昇し、アルブミン(予備能)は不変でしたが、HCV陰性例で線維化マーカーは低下傾向、アルブミンは増加していたことから、炎症所見の強くない肝硬変患者に有用であることが示唆されます。*(1)

この薬の副作用としては、食欲不振・悪心嘔吐・胃部不快感などの消化管障害、GOT・GPT・ビリルビン上昇など肝臓障害、掻痒・発疹など皮膚障害、めまい・頭痛・眠気など精神神経障害です。それらの早期発見を目的として投与開始後2、4、6週目の肝機能検査を実施して頂くことになっております。

また、黄疸、腹水、肝性脳症のいずれかの症状の患者さんは、症状が悪化する恐れがあるので服用できません。

 

「肝硬変に対するマロチラートの臨床効果 第2報:有効性と安全性の再評価」