ウイルス肝炎対策 厚生省の有識者会議発足

輸入非加熱血液製剤を投与された患者がC型肝炎ウイルスに感染した問題を契機に厚生省のプロジェクトチーム「有識者会議」が発足した。

そのためマスメディアが盛んにC型肝炎についての話題をとりあげている。国内においてC型肝炎ウイルスキャリアーは200万人以上といわれ、新しい国民病とも呼ばれるC型慢性肝炎は、決定的な治療法がまだない難病の一つである。根治的療法としてインターフェロン(IFN)が有効とされ1992年にC型慢性肝炎に使用が認められ8年ほどが経過した。しかし、一般的にIFNの有効率(C型肝炎ウイルスが排除できる率)はIFN治療を受けた患者全体で約3割といわれており決して十分なものとはいえない。特に日本人感染者の約7割を占める特定の難治性ウイルス(Genotype1b/Serotype1)では、ウイルス量が多い場合には、ウイルスが駆除できるのは約1割にも満たない状況である。

今後、登場する新しいC型慢性肝炎治療薬

しかし、C型慢性肝炎の新しい治療薬として近年いくつかの薬剤が開発され、海外では使用されている。

一つは新規IFN(コンセンサス・インターフェロン)であり、もう一つはIFNとの併用により効果を高めることが可能な抗ウイルス剤(リバビリン)である。また、ポリエチレングリコール(PEG)を結合し、効果を持続することができ週一回投与治療を可能としたIFN(PEG-IFN/ぺグ・インターフェロン)などが開発され欧米では既に臨床で使用され注目を集めている。国内においても現在開発中であり1〜3年後には、国内でもこれらの薬剤でC型慢性肝炎を治療することが可能となる。

 

コンセンサス・インターフェロン情報はこちらにもあります。
(これは米国のHome PageのMrs. Elaine's Hepatitis C Resource Pageの中のコンセンサス・インターフェロンの日本語翻訳版です)

 


リバビリン、IFNα-2b併用療法に反応しなかったC型肝炎患者に高用量コンセンサスIFNが奏効

[米国ペンシルバニア州フィラデルフィア]

ウォールターリード陸軍医療センター(ワシントンD.C)のMaria.Sjogren博士はテキサス州ダラスで開かれた米国肝臓病学会(AASLD)で、それまでの治療に反応しなかったC型肝炎患者の多くは、高用量コンセンサスインターフェロン(IFNαcon1,Infergen,Amgen社)による再治療でC肝炎ウイルス(HCV)が根絶されたと報告した。

奏効率は再発患者が高い

この報告は、500例を超える治療抵抗性のC型肝炎患者を対象とした現在進行中の治験に基づいたもの。全例が依然に3ヶ月以上にわたってIFNα-2bとRibavirinによる併用療法を受けていた。患者は前回の併用療法後に再発した症例(23%)と反応しなかった症例(77%)で、登録された全患者で血中にHCV-RNAが検出され、ALTが上昇し、生検から、慢性肝炎が証明されていた。

再治療ではまず、すべての患者に1500万IUのコンセンサスIFNを8週間連日投与し、次に16週間にわたって1500万IUのIFNを毎週3回投与する群(TIW)と900万IUを連日投与する群にランダム化した。この16週間(合計24週間)投与終了時点で、ウイルスが検出されなかった患者については、同じ投与量でさらに24週間投与を継続した(48週間まで)。

以前の治療後に再発し、48週間の治療を完了した患者の約8割(1500万IU TIW群83%、1日900万IU投与群の77%)でHCV-RNAが陰性となった。以前の治療に反応しなかった患者でHCV-RNAが陰性となったのは1500万IU TIW群が16%、1日900万IU投与群が40%であった。

治療に対する抵抗性が高く、最も多数を占める遺伝子型-1の患者も多くが高用量コンセンサスIFNに反応し、再発患者のうち67%、以前の治療に反応しなかった患者のうち37%が反応した。

高用量コンセンサスIFNに対する耐忍性も良好であった。最初の8週間は大部分の患者(72%)が最高用量を継続した。ランダム化後では95%の患者が24週間後まで最高用量を継続したが、うち40%(再発患者20%、反応しなかった患者の48%)はなおもウイルスが検出されたため治験から脱落した。

同博士は「副作用に関しては、連日投与群が週3回投与群よりも良好であった。今の状況に基づいて言えば、900万IU連日投与を採用すべきだと思う」と述べた。

同博士は以前の治療に反応しなかった患者は1500万IU週3回より連日900万IU投与したほうが良好と結論した。以前の治療で再発した患者についてはどちらの投与方法についても結果は良好で、いずれの投与群も48週間後には約80%の症例でウイルスが消滅した。

以前の併用療法に反応しなかった患者の治療はなおも困難である。同博士は新たにペグ化されたIFNでも完全には解決しないと予想し、「IFNの新たな投与方法を探究した方が良いと思われる。希望を捨ててはならないが、新たにぺグ化されたIFNを待つ必要ないと思われる。」と述べた。今回の治験の最終結果は今夏に得られると思われる。同博士は「現在までに得られた48週間のデータは興味深いもので将来的に優れた反応が維持されると思われる」と述べた。

Medical Tribune 34(3):p22.2001より